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もっと見る故郷リヴァプールへの温かな眼差し――83歳の巨匠が描く感動的な自伝的作品
ポール・マッカートニーが5年ぶりにリリースしたソロ・アルバムは、彼のキャリアの中でも特に内省的で個人的な作品となりました。タイトルの「ダンジョン・レーン」は、マッカートニーが育ったリヴァプールのスピーク地区に実在する通りの名前で、アルバム全体が彼の幼少期の記憶や原風景に触発されています。 プロデューサーのアンドリュー・ワットとの共同作業により、音楽的には多彩な表情を見せています。ウイングス風のロック、ビートルズ風のハーモニー、親密なバラードなど、マッカートニーの幅広い音楽性が詰め込まれています。83歳という年齢を感じさせる声の枯れも、むしろ楽曲の感情的な深みを増す効果となっており、特に回想的なナンバーでは感動を誘います。 リンゴ・スターとのデュエット曲「Home to Us」をはじめ、戦後リヴァプールでの両親の奮闘、若き日のジョン・レノンやジョージ・ハリスンとの冒険など、これまで語られなかった記憶が温かく綴られています。批評家からは「21世紀のマッカートニーの最高傑作の可能性」との声も上がっており、チャート面でも英国をはじめ複数国で1位を獲得しました。 ## 評価のポイント 過去を振り返りながらも決して後ろ向きにならず、前向きな姿勢を失わない点が素晴らしいです。メロディーメイカーとしての才能は健在で、一度聴いたら頭から離れない楽曲が随所に散りばめられています。アルバム全体の統一感も近年の作品に比べて格段に向上しており、コンセプト・アルバムとしての完成度の高さが光ります。 ## 関連作品・その他のおすすめ 同じく自伝的要素の強い『Flaming Pie』(1997)、『Chaos and Creation in the Backyard』(2005)、『Memory Almost Full』(2007)などがお好きな方には特におすすめです。また、ワンマン・レコーディングという点では『McCartney』(1970)や『McCartney III』(2020)とも通じるものがあります。 ## 注目トラック Days We Left Behind、Home to Us、Momma Gets By
バラエティに富んだ楽曲が並ぶ"2020年代前半のポール・マッカートニー楽曲集"
ポールが米国人プロデューサーのアンドリュー・ワットとともに数年をかけて作り上げていったという最新作で、10曲目の「Home To Us」はリンゴとのデュエット。静と動のコントラストが鮮烈なオープニング「As You Lie There」から、彼ほどのベテランとは思えないほど力強くエモーショナルな作風に驚かされます。サウンド面では全体としてバラエティに富んでおり、過ぎ去った日々に目を向けた「Days We Left Behind」や「Down South」などの楽曲はアコースティックな曲調。そうした中でサイケ風の「Mountain Top」や爽快なギター・ロック・ナンバー「Come Inside」なども良いアクセントになっています。ほかにも、メロトロンの音色や間奏のアレンジに「The Fool On The Hill」や「Strawberry Fields Forever」の面影が浮かぶ「Never Know」、「Your Mother Should Know」のようなポール節を感じさせる「Life Can Be Hard」、ピアノと荘厳なストリングスに乗せて強い女性の姿が描かれる「Momma Gets By」など個性的なトラックが多数。ポールの子供時代への回顧が一つのテーマになっているようですが、数年のうちに少しずつ作られていったということを考えても、サウンド面に関しては「2020年代前半のポール・マッカートニー楽曲集」というようなイメージが合うかもしれないと感じました。