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中学2年の夏、週末になる度に同級生の田中くんと近所のBOOK OFFを自転車でまわる。 メールマガジンに登録していた僕たちのもとには、毎日のようにセール情報が届く。500円コーナー10%オフ。1000円コーナー20%オフ。そしてその日は、年に数回しかない“全商品20%オフ”の日だった。 目当てのアルバムを何枚も頭の中で反芻しながら、片道50分間を道のりをひたすらペダルで刻む。まだ珍しかった電動アシスト自転車で坂道を鼻歌まじりにすすむ田中くんの背中を見つめながら、僕はチェーンのついた長財布に入れた2,500円を運び続ける。 財布の少しばかりの厚みと引き換えに、「クリームの素晴らしき世界」そして「カラフルクリーム」、モノクロとカラフルな2つの正方形を袋に詰めて、家路を急ぐ。 袋の中で並ぶ二枚のジャケットは、まるで別々の世界への入場券のようだった。家路を急ぐ六段変速のタイヤの回転とともに、僕は知らず知らずのうちにブルースロックという巨大な扉をくぐっていたのである。あの日手に入れたものはアルバム二枚ではない。少しだけ世界を広げてくれる地図だったのかもしれない。