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2013年3月にリリースされた『Ten』は、兄弟ユニットとしてのキリンジが残した最後の作品です。脱退が発表された中でのリリースとあって、感傷的なムードを想像しがちですが、実際のアルバムは驚くほど淡々としていて、むしろその潔さが心地よく響きます。 全10曲で41分というコンパクトな構成ながら、曲のバランスがよく取れています。カントリー調の「ナイーヴな人々」、オールディーズ風の「夢見て眠りよ」、お風呂ソングとも称される「黄金の舟」など、多彩な曲調が楽しめます。過去作に見られた複雑な音像から、よりデッドで収まりの良い音作りに回帰しており、コーラスワークやハーモニーが前面に出ているのが大きな特徴です。兄弟のボーカルが絡み合う瞬間の美しさは、このアルバムならではの魅力といえるでしょう。 ## 評価のポイント 派手さはありませんが、余分な装飾を削ぎ落としたシンプルな音作りが、かえって彼らの本質を際立たせています。音楽そのものの良さで勝負する姿勢は、長年のファンにも納得のいく締めくくりではないでしょうか。ただし、インパクトに欠ける面があるのも事実で、初めて聴く方よりは、彼らの作風を知る方向けの一枚かもしれません。 ## 関連作品・その他のおすすめ キリンジ入門には『BUOYANCY』や『7』が聴きやすいでしょう。本作を気に入った方は、前作『SUPER VIEW』や名盤『fine』もおすすめです。 ## 注目トラック ナイーヴな人々、手影絵、黄金の舟