ストロークス新作リリース記念!ガレージロック・リヴァイヴァルの名盤20選
間もなくストロークスの新作『Reality Awaits』がリリースされることを記念して、彼らの『Is This It』をきっかけに大きな人気を博した00年代のガレージロック・リヴァイヴァルを振り返ります。
ガレージロック・リヴァイヴァル
グランジの熱狂が収束した1990年代後半のロック界ではニュー・メタルやポップ・パンクが人気を博しましたが、音楽シーンにはどこか閉塞感が漂っていました。そんな空気を一変させたのが、00年代初頭に巻き起こったガレージロック・リヴァイヴァル・ムーヴメントです。
これはその名の通り60年代のガレージロックをはじめ、70年代のパンク、さらにはポスト・パンクなどの影響を受けた潮流で、"バンド・サウンド"にこだわったシンプルなアレンジや、無骨で粗削りな演奏などがその特徴になっていました。
そして、この潮流を牽引したのがニューヨーク出身のストロークスでした。01年にリリースされた彼らのデビュー作『Is This It』は、2人のギタリストが奏でるルーズなリフと、カリスマ性を帯びたフロントマンであるジュリアン・カサブランカスの気怠いヴォーカルで世界中の若者を瞬く間に虜にしました。さらに同じ時期、海の向こうのロンドンでも、ピート・ドハーティとカール・バラーという二枚看板を擁するリバティーンズが退廃的なブリティッシュ・ロックでシーンに新風を吹き込みました。この2バンドの登場により、ロック界はその勢いを取り戻したのです。ある意味では、現在までにロック界が最後に盛り上がりを見せたのはこの時期だったと言えるでしょう。
世界全体への広がり
このムーヴメントの特筆すべき点は、グランジのように地域限定的だったジャンルとは異なり、世界全体に広がったことにあります。サイケデリックな音を鳴らしたブラック・レベル・モーターサイクル・クラブはサンフランシスコの出身、姉弟のデュオというコンセプトだったホワイト・ストライプスはデトロイトの出身。ほかにもオーストラリアからはジェットやヴァインズ、スウェーデンからもマンドゥ・ディアオとハイヴスなどが登場し、ムーヴメントは国境を超えて拡散していきました。また、日本からもTHE BAWDIESやザ50回転ズなど、ロックンロール/ガレージロックをルーツとするグループが登場。その流れはNo Busesなど新世代のバンドにも受け継がれています。
しかし、中でもシーンの一大拠点となったのはイギリスで、同国ではNMEが「ニュー・ロック・レヴォリューション」と銘打ってこのムーヴメントを大々的に取り上げたこともあり、アークティック・モンキーズ、カイザー・チーフス、レイザーライト、フラテリス、クークス、クリブスといった有力グループが次々に登場しました。
インディー・ロック/ポストパンク・リヴァイヴァルとの棲み分け
この特集で取り上げる作品/アーティストの多くは、インディー・ロックやポストパンク・リヴァイヴァルといったジャンルで語られることもあります。厳密な棲み分けは難しく、特にインディー・ロックはメジャーからの独立性といった要素で語られることが多いため、作風やサウンドによる分類とはそもそも性質自体が異なります。
ただ、その中でガレージロック・リヴァイヴァルというジャンルの特性を挙げるとすれば、骨太なサウンドや粗削り感の残るシンプルなアレンジなどが考えられます。その点ではリバティーンズとその後継グループのダーティ・プリティ・シングス、ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ、ジェット、ハイヴス、ヴァインズ、ホワイト・ストライプス、ブラック・キーズ、マンドゥ・ディアオ、フラテリスなどはジャンルの典型と言え、一方でアート性の強いフランツ・フェルディナンドやヤー・ヤー・ヤーズ、ブロック・パーティ、カイザー・チーフスらはポストパンク・リヴァイヴァル寄り、繊細なメロディー・センスを備えたレイザーライトやクークス、クリブスらはインディー・ロック寄りと言えます。しかしアークティック・モンキーズのようにそれらすべての要素を内包したグループや、ホラーズをはじめアルバムを重ねるごとにポストパンク色を強めていったグループもいることから、どの作品も完全にジャンル分けすることは困難です。
01年から10年頃にかけてのおよそ10年間、ガレージロック・リヴァイヴァルはロック界のメインストリームを席巻し、後進のアーティストたちに多大な影響を与えました。そしてストロークスの新作リリースが迫ったこのタイミングで、このムーヴメントを彩った名盤の数々を振り返るべく20作をチョイスしました。この特集から漏れているお気に入りのアルバムやジャンルの隠れた名作など、ぜひコメント欄で教えてください!
ピックアップアルバム
ガレージロック・リヴァイヴァルの始まりにして金字塔。都会的でありながら無骨で最高にクールなそのサウンドは、現在も唯一無二の魅力を放っています。
強烈な個性を備えたピートとカールという2人のフロントマンを擁するリバティーンズのデビュー作。クラッシュのミック・ジョーンズがプロデュース。
ギター/ヴォーカルのジャックとドラムのメグによるデュオの4thアルバム。イントロで観客の大合唱が巻き起こる「Seven Nation Army」を収録。
退廃性を帯びたサイケデリックなサウンドを武器とするサンフランシスコ出身のスリーピース・バンドの1stアルバム。名曲「Spread Your Love」などを収録。
廃タイヤ工場で録音されたという点もガレージロックのイメージに合致するブラック・キーズの04年作。泥臭くブルージーなサウンドを堪能できます。
ヴォーカルのカレンOを中心とするニューヨーク出身の3人組による03年作。ガレージロック的な荒々しさを持ちながらも他とは一線を画す独創的な傑作です。
iPodのCMでもお馴染みの「Are You Gonna Be My Girl」を収めた豪バンドの1stアルバム。気持ち良いほどストレートなロック・サウンドを堪能できます。
同じくオーストラリアの出身で、圧倒的な存在感を放つフロントマンのクレイグ・ニコルズを中心とするグループの1st。本作が有名ですが、以降のアルバムも傑作揃いです。
揃いの衣装とライヴ映えするパフォーマンスで根強い人気を誇るスウェーデンのグループの04年作。代表曲の一つ「Walk Idiot Walk」を収録。
彼らもスウェーデン出身のグループで、リバティーンズ同様、異なる個性を持つ2人のフロントマンが在籍。「The Band」はジャンル随一の名曲だと思います。
リバティーンズ解散後にメンバーのカール・バラーとゲイリー・パウエルが中心となって結成したグループの1st。スタッフイチオシの秀作です。
グラスゴー出身の3人組の06年作。iPodのCMに使われた「Flathead」をはじめ「Whistle For The Choir」、「Chelsea Dagger」と名曲が目白押し。
ゴシックな世界観を前面に押し出したホラーズの1stアルバム。2ndアルバム以降はシューゲイザー、サイケデリアと次々にサウンドを転換。
大名曲「Take Me Out」を含むグラスゴー出身のグループの04年作。アレックス・カプラノスのダンディな歌声とダンサブルなポスト・パンク・サウンドの組み合わせがリスナーを魅了。
オアシスのギャラガー兄弟の"口撃"の餌食になったエピソードも有名なグループの1st。アンセム「Helicopter」をはじめ、踊れるサウンド満載の1作。
リーズ出身の5人組のデビュー作で、イギリスらしい捻くれたポップ・センスが特徴的。2ndの『Yours Truly, Angry Mob』も甲乙付け難い傑作です。
ロンドン出身のレイザーライトのデビュー・アルバム。骨太なロックというより、繊細さをもったインディー感たっぷりのサウンドが特徴です。
同じくインディー色が濃い英バンド、クークスの1st。キラー・チューン「Naive」はイントロのギターから衝撃的な格好良さ。
ジャーマン3兄弟により結成された英バンドが05年にリリースした2ndアルバム。粗削り感のあるサウンドとキャッチーなメロディー・センスが見事に融合。
若さと類稀なるセンスが絶妙に融合したアークティック・モンキーズのデビュー作。疾走感のあるアンセムから哀愁漂う小曲までどれもが魅力的。