ロックの殿堂入り記念!オアシスのキャリアを一挙振り返り
昨年に再結成ツアーを行い、2026年にロックの殿堂入りを果たすことが発表されたオアシスの全スタジオ・アルバム+関連作品を一挙に振り返ります。
2026年、オアシスがロックの殿堂入りを果たすことが発表されました。昨年には再結成ツアーを敢行し、世界各地のスタジアムを沸かせたのも記憶に新しいところ。彼らの軌跡を関連アルバムとともに振り返る上で、これ以上相応しいタイミングはないでしょう。
オアシスの出発点は、91年の英国はマンチェスターに遡ります。リアム・ギャラガーが"ザ・レイン"というバンドに参加し、ほどなくしてそこに兄のノエル・ギャラガーが加入。兄弟のほかポール・"ボーンヘッド"・アーサーズ(ギター)、ポール・"ギグジー"・マッギーガン(ベース)、トニー・マッキャロル(ドラム)を含む初期ラインナップが揃い、バンドはオアシスへと改名しました。93年にグラスゴーのライヴを偶然観たクリエイション・レコーズのアラン・マッギーが即座に契約を申し出たというエピソードはよく知られています。
そうして翌94年にリリースされたデビュー・アルバム『Definitely Maybe』は、当時の英国における最速のセールス記録を叩き出し、バンドは一夜にしてスターとなりました。続く『(What's the Story) Morning Glory?』(95年)は全英アルバム・チャートで10週に亘り1位を記録し、「Wonderwall」(今年のサッカーW杯ではイングランド代表が勝利を収めたあと、この曲をサポーターと合唱するのが恒例になりました)、「Don't Look Back in Anger」といった楽曲はブリット・ポップのアンセムとして今も歌い継がれています。そして96年8月のネブワース公演には推定250万人の申し込みが殺到。英国音楽史上に残る観客動員を記録したその一夜は、オアシスというバンドが国民にとって単なる音楽グループを超えた存在であることを証明しました。
その後もバンドは精力的にリリースを続けましたが、ガレージロック・リヴァイヴァルの台頭など音楽シーンの変化の中でそれらの作品は賛否を呼び、初期2作のような評価を得ることはなかなかできませんでした。そして7thアルバム『Dig Out Your Soul』リリース後の09年8月、パリのロック・アン・セーヌ・フェスティバルのバックステージでリアムとノエルが衝突。ノエルは脱退を発表し、グループは活動に一度幕を下ろしました。
解散後、リアムはオアシスのバンドメイトであったゲム・アーチャー(ギター)、アンディ・ベル(ギター)、クリス・シャーロック(ドラム)らともにビーディ・アイを結成し、2作のアルバムを発表したのちソロ活動へ。ノエルは自身のプロジェクトであるノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズを立ち上げ、それぞれが独自のキャリアを歩みました。しかし24年8月、兄弟は25年に再結成ツアーを行うことを発表。このツアーでは2日間の来日公演も実現し、海外のみならず日本国内のファンも熱狂させました。
ロックの殿堂入りは、栄光と波乱に満ちたそのキャリアを称える大きな勲章です。ライヴ・アルバムを含むオアシスとしての8作、ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズの4作、ビーディ・アイの2作、リアムのソロ4作(ジョン・スクワイアとのコラボ作含む)、そしてアンディとゲムの関連作品を通して、グループの足跡を改めて振り返ります。
ピックアップアルバム
英国におけるデビュー・アルバムの最速セールス記録を塗り替えた1st。「Live Forever」「Supersonic」「Cigarettes & Alcohol」など、力強いロック・サウンドと優れたメロディー性が同居した素晴らしい楽曲群が並び、ジャケットも含めすべてが象徴的な1作です。
「Wonderwall」「Don't Look Back in Anger」「Some Might Say」「Morning Glory」「Champagne Supernova」などなど、名曲しか存在しない空前絶後の傑作。ブラーとのチャート対決も話題を呼んだこの時期、バンドは英国文化の中心に躍り出ました。
初週セールスは当時の記録を更新したものの、メンバーのあいだでも賛否が分かれる3rdアルバム。名曲「Stand By Me」は、長らくオアシスのライヴでは滅多に演奏されていなかったものの、再結成ツアーではシンガロングの嵐を巻き起こしました。
ボーンヘッドとギグジーが脱退し、正規メンバーにはギャラガー兄弟とアラン・ホワイト(ドラム)のみがクレジットされた転換期の4th。サイケデリック色が強くなり新たな方向性を模索した意欲作で、再評価の声も根強い1枚です。
新加入のアンディ・ベル(ex. ライド/ハリケーン#1)とゲム・アーチャー(ex. ヘヴィー・ステレオ)も参加した00年のウェンブリー・スタジアム公演の模様が収められたライヴ盤。スタジアムを埋め尽くした観客との一体感がそのまま記録されたドキュメント。
ノエル一極集中だった作曲体制に変化が見られ、リアムのみならずアンディとゲムもソングライターとしてクレジットされた5th。バンドとしての新たな方向性が打ち立てられた1作であり、一部の楽曲にはジョニー・マーがゲスト参加。
ドラマーがリンゴ・スターの息子ザック・スターキーに交代。いずれも全英1位となったシングル「Lyla」と「The Importance of Being Idle」を含み、ファンとメディアからこぞって高い評価を受けた6thアルバムです。
結果的にオアシスとしての(現時点での)最後のスタジオ・アルバムとなった7th。爽快なロック・ナンバー「The Shock Of The Lightning」や、リアム作の名曲「I'm Outta Time」など聴き応えのある楽曲を多数収録。
オアシス解散後にノエルが立ち上げたプロジェクトのデビュー作。「If I Had a Gun...」や「The Death of You and Me」をはじめノエルの職人的なソングライティングが光り、内省的で洗練された音楽性が際立つ1枚です。
サイケデリックな色彩を帯びたハイ・フライング・バーズの2nd。ノエルのセルフ・プロデュースで制作され、「In the Heat of the Moment」「Lock All the Doors」「Ballad of the Mighty I」など強力なトラックが並びます。
テクノ畑のプロデューサーであるデイヴィッド・ホームズとタッグを組み、ダンス色が強く出た3rd。従来のギター・ロックの枠を超え、ノエルが自らの新境地を切り拓いた意欲作です。
前作から一転、原点回帰作とも言えるノエルのソロ・プロジェクトの4作目。リード・トラックの「Pretty Boy」を含む3曲に、元ザ・スミスのレジェンド、ジョニー・マーが参加しています。
オアシスの解散後、リアムを中心に、ノエル以外のメンバーたちが立ち上げたビーディ・アイがストレートなロックで勝負したデビュー作。このグループの作品は現在、日本の主要サブスクでは配信されていないようなので、ある種レアな作品と言えるかも。
デイヴ・シーテックをプロデューサーに迎えたビーディ・アイの2nd。サイケデリック・サウンドを大胆に取り込み、前作より実験的な方向へ踏み込んだ挑戦作であり、リアムがソロの道を選んだことでグループの最終作ともなりました。
ビーディ・アイ解散から3年を経てリリースされたリアムのソロ・デビュー作。「Wall of Glass」「For What It's Worth」などを含む本作は、シンガー及びソングライターとしてのリアムの成長ぶりを感じさせる1作となり、全英1位を獲得しました。
プロデューサーのグレッグ・カースティン、アンドリュー・ワット、サイモン・アルドレッドを共同作曲者としても積極的に登用したリアムのソロ2作目。リード曲の人気もあり、前作の勢いそのままにソロ・シンガーとしての評価を揺るぎないものにしました。
フー・ファイターズのデイヴ・グロールが作曲に携わった「Everything's Electric」や、兄のノエルに向けたとされる「More Power」など多彩な楽曲が並ぶリアムのソロ3作目。ロック・サウンドだけではないリアムの幅広い魅力を感じられる1作です。
ストーン・ローゼズのギタリスト、ジョン・スクワイアとリアムのコラボ・アルバム。マンチェスターのロック・シーンを牽引してきた2人が顔を合わせた歴史的な作品で、60〜70年代ロックへの愛に満ちたギター・サウンドが全編を彩ります。
最後に関連作品をもう2作ご紹介。こちらはアンディ・ベルが中心的役割を担ったシューゲイザーの名バンド、ライドのデビュー・アルバムにして、ジャンルを代表する名盤。そんな逸材が楽器を持ち替えてまで加入してしまうオアシスはやはり恐るべきグループです。
同じくゲム・アーチャーがオアシス加入前に率いたブリットポップ・バンド、ヘヴィー・ステレオの唯一作。ゲムがメンバーになったことも納得できるほど、オアシスと親和性の高いロック・サウンドの作品です。