シンセサイザーの海に飛び込んだパンプキンズの野心作
The Smashing Pumpkinsが2020年に放った20曲72分のダブル・アルバム『CYR』は、バンドの大胆な方向転換を示す意欲的な作品です。これまでのギター中心のロック・サウンドから一転、シンセサイザーを全面に押し出したエレクトロ・ポップ/シンセポップ・サウンドへと舵を切っています。
評価のポイント
本作の最大の特徴は、80年代のニューウェーブやデペッシュ・モードを思わせるシンセ主体のサウンドです。オープニングの「The Colour of Love」は躍動感あふれるキャッチーな曲で、アルバムの方向性を象徴しています。「Anno Satana」や「Ramona」といった楽曲では、シンセと生楽器のバランスが絶妙で、パンプキンズらしさも感じられます。「Minerva」は全20曲の中でも際立った完成度を誇り、美しいメロディーが印象的です。
しかし、72分という長尺には課題も。多くの楽曲が似たようなテンポと雰囲気で進行するため、ダブル・アルバムに必要な起伏や変化に欠けています。シンセ・サウンドは斬新である一方、楽曲によっては単調に感じられ、もう少し編集を加えれば傑作になり得たという惜しさが残ります。野心的な挑戦は評価できますが、実行面での粗さが目立つ作品と言えるでしょう。
関連作品・その他のおすすめ
シンセポップに挑戦したロック・バンドの作品として、デペッシュ・モードの『Violator』やニュー・オーダーの『Power, Corruption & Lies』がおすすめです。パンプキンズ自身の過去作では、電子音楽要素を取り入れた『Adore』と比較すると興味深いでしょう。また、M83の『Hurry Up, We're Dreaming』も本作を気に入った方には響くかもしれません。
注目トラック
The Colour of Love、Ramona、Minerva
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